・「X-MEN」の映画権の変遷の歴史
・原作とMCUのワンダとピエトロの設定の違い
・MCUにワンダとピエトロを登場させられた理由
みなさん、X-MENのファンなら一度は「なぜワンダとピエトロがMCUに登場できたのか」と疑問に思ったことがあるでしょう。今日は、その謎を解き明かします。
ワンダ・マキシモフ(スカーレット・ウィッチ)とピエトロ・マキシモフ(クイックシルバー)は、元々「X-MEN」のコミックで登場するミュータントとして知られています。
しかし、彼らは同時に「アベンジャーズ」のメンバーでもあります。
この二重の所属が、彼らがMCUに登場する鍵となりました。
※この記事は以下作品の軽いネタバレが含まれます。ディズニープラスで該当作品を視聴後に読むことをお勧めします。
- アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン
- ワンダヴィジョン
権利の複雑さ
当時のマーベルと20th Century Foxの間で、映画の権利は非常に複雑でした。
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マーベルの映画製作は、キャラクターの権利が複数のスタジオ間で分散されているという困難に直面していました。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、X-MENの映画化権は20th Century Foxに売却されました。
この取引により、FoxはX-MEN関連の映画だけでなく、特定のミュータントキャラクターの使用権を独占的に保持しました。
一方、マーベル自身はアベンジャーズやその他のキャラクターの権利を保持し続け、自身の映画ユニバースを構築する手段を持っていました。
MCU参戦の突破口
しかし、ワンダとピエトロはこの二つの世界にまたがる存在でした。
マーベル・コミックでは、彼らは「アベンジャーズ」でも活動し、「X-MEN」ではミュータントとしての背景を持っています。
ワンダとピエトロはマグニートーの子供であり、ミュータントとして生まれました。しかし、彼らはアベンジャーズでも活動し、チームの一部として多くのストーリーに参加。
この二重の所属が、MCUへの道を開いたのです。
X-MEN(ミュータント全般)の映画権利はFoxが持っていた一方、マーベル・スタジオはアベンジャーズの権利を保持していました。
マーベル・スタジオが直面した課題は、ワンダとピエトロを「ミュータント」として描くことはできず、Foxの権利を侵害しない方法で登場させることでした。
そこで、マーベルは創造的な解決策を打ち出しました。
ワンダとピエトロは「ミュータント」ではなく、「強化人間」として登場。
映画『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』では、彼らはマインド・ストーン(Infinity Stoneの一つ)の力によって強化人間として能力を得たと設定されました。
- ワンダ(スカーレット・ウィッチ):彼女の能力はマインド・ストーンの影響によるものとされ、テレキネシスや現実改変の力を持つ。これにより、彼女は強化人間として描かれました。
- ピエトロ(クイックシルバー):超高速移動能力も同様にマインド・ストーンから得たものとされ、「強化人間」として紹介。
これにより、Foxが持つミュータントとしての権利を回避しつつ、MCUに登場させることが可能になったのです。
よく作品を見てみると「スカーレット・ウィッチ」、「クイックシルバー」というワードは一度も出てこず、あくまでも強化人間の「ワンダ・マキシモフ」と「ピエトロ・マキシモフ」と言われています。
FOX買収によりミュータントの使用が可能に
2019年にウォルト・ディズニー・カンパニーが21世紀フォックス(20世紀フォックスを含む)を買収したため、MCUに「ミュータント」を登場させられるようになりました。
その為、『ワンダヴィジョン』ではついに「スカーレット・ウィッチ」という名前が登場しました。
さらに、公式MCU本「ワカンダファイル」ではヒドラの実験でマインドストーンにより力を得た強化人間ではなく、ワンダとピエトロが潜在的に持っていた能力を覚醒させただけにすぎないとされています。
ヒドラがソコビアに基地を造り研究を行っていたのも、ソコビア人に遺伝的な異常があったことを確認していたからとのことです。
これは明らかにミュータントの存在とマキシモフがそれであることを示唆していると言えますね。
『エイジ・オブ・ウルトロン』の時点では、マインドストーンのお蔭で力を得た設定でしたが、権利が戻ったことにより、原作通りのミュータント設定にすることもできそうな情報の提供。非常にわくわくしますね!
(最近の原作ではMCUの影響かワンダはミュータントでは無いことになっていますが)
ストーリーへの影響
この戦略は、キャラクターのバックストーリーを調整するだけでなく、マーベル・シネマティック・ユニバースの世界観を広げる良い例となりました。
ワンダとピエトロがミュータントではなく強化人間として描かれたことで、MCUの物語は新たな方向性を模索することができました。
例えば、ワンダの力の起源が実験によるものであることは、彼女のキャラクター開発に深みを与え、後の『ワンダヴィジョン』での展開に繋がりました。
創造性の勝利
このような対応は、単なる権利の問題を超えて、マーベルがどのようにしてキャラクターを新たな文脈で活かし、ファンに提供するかという創造性の勝利でもあります。
Foxとの権利共有が、作家たちに新たなストーリーテリングの可能性を開いたと言えるでしょう。
まとめ
このように、ワンダとピエトロのMCUデビューは、映画製作の裏側でどれだけ複雑な調整が行われているかを示す一例です。
そして、その結果、私たちは素晴らしいストーリーとキャラクターを享受することができました。
マーベルファンとしては、これからもそんな驚きと喜びに満ちた展開に期待せずにはいられませんね。
ディズニーが20th Century Foxを買収した今、X-MENやファンタスティック・フォーなどのキャラクターもMCUに統合される可能性が高まっており、未来のマーベル映画は更にエキサイティングな展開を見せることでしょう。
マーベルがどのようにして権利問題を乗り越え、愛すべきキャラクターを我々に届けたか、その創造性には感服せざるを得ません。
この物語は、マーベル・シネマティック・ユニバースの歴史の一部として、永遠に記憶されるでしょう。
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